2012年03月24日

厚貫

「貫(ぬき)」と言えば、昔は木造住宅では、必ず使われると言って良い部材でした。

最近では、筋かいや構造用面材で、耐震力を確保する構造が一般的です。
そういう家では、貫は、まず使われません。

最近でも、少なくはなりましたが、土壁(荒壁)を付ける場合には、貫を使います。
愛知県やその近隣は、土壁が比較的残っている地域です。
愛知県以西では、土壁のための貫は、15mm程度の薄貫が主流です。
土壁を付けるために、竹を格子状に編む竹小舞を柱間に固定するための貫です。
壁倍率1.5倍仕様の土壁の場合でも、厚さ 15mm以上、巾 100mm以上で、
貫間隔についても、91cm以下で3段以上、という規定となっています。
壁耐力は、あくまで土壁が主に負担しています。

それに比べ、愛知県より北側の寒い地方では、土が凍るためか、土壁が少なくなります。
土壁用の土が産出するしないも、地域の事情としてあったとは思いますが。
そういう場所では、板壁と厚貫が多く使われてきました。
厚貫の間隔も、土壁用の薄貫より細かくなります。
30mm近い厚貫で、貫自体が耐震壁の役目を果たしてきました。

1本ごとの厚貫自体の耐力は、そう高いものではありませんが、
使われる本数の多さから、柱との接点がたくさん集まることによって、その効力を発揮してくれます。
貫は、復元力があり、粘り強い特性があります。
また、建物が崩壊仕掛けた時に、菱形になってでも崩壊をくい止める効力を発揮します。
想定を超えた地震力に襲われた時に、人命を守る機能が優れた材料です。
当然、軸組の耐力も含めての構造体となるものの、
ただ、厚貫だけでは、初期剛性が低いのが難点です。

現代の建築基準法の中では、貫自体は、評価されずに来ました。
最近では、厚貫を評価する人は、まだ少数派ですが増えてきています。
一応、私もその端くれだと思っています。
私が会員として参加しているワークショップ「き組」では、
厚貫の有効性を生かした家づくりを推奨しています。

伝統系の木組みを生かした家づくりにこだわる人の中には、
厚貫にこだわりを持つ方が、少なからずおみえです。

今後、厚貫の可能性が膨らめば良いと思っています。
厚貫+土壁、厚貫+厚板、厚貫+面材など、大きな可能性があります。
初期剛性も確保し、終局耐力の高い構造は、大地震にも有効な家づくりとなります。

公的な実験が進み、厚貫耐力の評価が具体化することを、期待してやみません。
posted by 青木正剛 at 23:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 家づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日、免震工法(IAU型免震)の講習会に参加してきましたが、
震度7→震度4に低減できると言うのには驚きました。

@免震を使って上部構造体は基準法レベルの耐力壁でいくのか?
A講習先の社長の友人である東大の大橋氏が最近になって言われているという、
最低でも基準法の1.5倍でいくのか?
(これでも震度6強では耐えられないようですが・・・)

フラットベット型基礎で上部は足固め。そしてアンカ−ボルトで基礎と緊結しない
のが一番負担の少ない方法だと思うのですが・・・。

もう少し勉強をしていかなければならないと感じました。
Posted by 石川忠紀 at 2012年03月29日 21:28
私も、免震・制振については、もうひとつ理解できていない感じです。
貫のめり込み効果や、石場建てがずれることによる、力を逃がす感覚は、解りやすいような気がします。機械を使った免震・制振については、「想定」との闘いのような気がして、それであれば、1.5倍方式の方が良いような感覚も持ってはいます。ただ、私の今の現状では中途半端な知識でしょうからもう少し、勉強していかなくてはいけないのかなと思っているところです。
Posted by 青木正剛 at 2012年03月29日 23:25
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