2012年03月21日

木材に手間を掛ける

木材は、その一本一本によって、個性が大きい材料です。
樹種による違いはもちろんですが、産地によっても大きな差があります。
同じ産地であっても、立木が山の南面なのか北面なのか、東面なのか西面なのか。
その木が受ける陽射しの状況、風の状況でも、木の個性は変わってきます。
立木が木材となり出荷されるまでには、
工程の進捗そって、何度も人による見立てが必要となります。

間伐の状況によっても、木の個性は大きく変わってしまいます。
良材として有名な吉野材は、密植林業といって、単位面積当たりの本数を増やし、
計画的な間伐をすることによって、均一な目詰まりを持つ材を生み出してきました。
日本最古の人工林の歴史と手間の成せる技です。
密植林業は、どの山でも簡単にできることではありません。

人工林である限り、密植林業でなくても、間伐は大切です。
間伐を怠り、木の成長により過度に密度が高くなった木は、
栄養が吸収できず、痩せほとり、風や雪で倒れ、材木になり得ない木となってしまいます。
山からの資産をみすみす喪失しているようなものです。
豪雨時の土石流や、山から川へ流れ出る水質に影響する環境問題にもなります。

国産の杉やヒノキのほとんどは人工林です。
人工林は、人が手間を掛け続けることが前提となっているのです。

そして、立木が建築用材としての木材になるためには、乾燥工程と製材が必要です。
ここでも、人の手間が重要となります。
この木材に掛ける人の手間によっても、木材の性質が変わります。
材の 工業化を目標とした高温(人工)乾燥による製材 と、
木材の特性を生かす天然乾燥を大切にした製材の、二種類に大別されます。
一部、個性を殺さないように、中温以下の人工乾燥を採用する製材もあります。

時間を短縮し、材の個性をなくし、品質安定・大量生産化を目指すか、
ゆっくりと自然の力を利用し、個性を活かした生産を目指すか、
木材提供者の目的と思い入れの差が、大きく作用する部分です。
大手住宅会社を含めた社会の主流は、工業化による 高温(人工)乾燥による製材です。

高温(人工)乾燥は、熱源に石油資源を大量に使用します。
それに比べ、天然乾燥は時間は掛かりますが、石油資源を必要としません。
当然、二酸化炭素の排出量は歴然の差となります。
未来に向かって、循環型の社会を目指す上では、考えていかなければいけません。

低温の人工乾燥で、石油資源をほとんど使わない乾燥方法も研究中のようです。

いずれにいしても、
木材は、立木の時も、乾燥・製材の行程でも、人の手間が掛かります。
そして、環境問題や資源問題に直結した資材です。

山に、どのような手間を掛けるのか。
木材に、どのような手間を掛けるのか。
未来に向かって、ちゃんと認識していたいものです。
posted by 青木正剛 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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