2012年01月08日

切妻屋根でつくる

私は、木造住宅の屋根は、切妻屋根を基本に考えるべきではないかと考えています。
今までの実務の上でも、要望や条件によって片流れも用いますが、切妻屋根が中心です。

最近の住宅の屋根形状は、片流れや外部から勾配形状が見えない屋根が多くなりました。
軒やけらばの出のないものや、ビルのような陸屋根形状に見えるものも多くなっています。
デザイン重視の都市型住宅では、特に顕著です。

木造住宅の場合は、歴史的には勾配屋根が採用されてきました。
勾配屋根は、切妻、片流れ、寄せ棟、入母屋などの形状があります。
最近の住宅では、片流れ、寄せ棟が多いように感じます。
デザイン面での流行が大きいと思いますが、
造る側の、施工が簡単という事情も影響しているように感じます。

流行や、工事費からの側面が強くなりすぎているようでちょっと気になります。
屋根本来の目的である防水性や、外壁や開口部を雨から守る機能は、大切にされなければいけません。
片流れの上部の飛び出し部分は、台風などの暴風雨にはリスクが高くなります。
それなりの設計施工上の配慮が必要です。
下り棟や谷の部分も、漏水のリスクが高くなる部分です。
当然、施工の質の高さが求められます。
また、葺き素材に合わせた勾配の確保も大切なことです。
陸屋根や緩勾配の屋根は、特に設計施工上の配慮が重要となります。

そして、屋根(軒やけらば)の出の確保は、
雨から外壁や開口部を守るために大きな意味があります。
南面の吐き出し窓部分では、季節による日射の調整もしてくれます。
家の耐久性を高め、季節による過ごし易さにも貢献してくれるものです。
民家の深い軒の出は、大きな意味があったのです。

現存する築100年以上の古民家を見れば、切妻屋根が非常に多いのが納得できます。
その地域での雨や雪に配慮した勾配と、軒とけらばの出が確保されています。
また、家の姿形が美しいのも特筆すべき部分です。
神奈川県川崎市にある川崎民家園では、各地の民家が移築復元されています。
その民家の美しさには圧倒されます。
大工さんをはじめとする職人さん達の技量と美意識のなせる技です。

切妻屋根は、室内に小屋組を表しにする場合にも、とても都合の良い屋根形状です。
切妻屋根の木組み部分は、美しく心地良い住空間とすることができます。
非常に優れた屋根形状なのです。

美しい切妻屋根の家、つくりませんか。
posted by 青木正剛 at 11:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 家づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今年もよろしくお願い致します。
切妻屋根の住まいが、個人的にも一番好みです。
あきる野市の五日市に移築保存されている民家も、
軒の出が深くなっています。
夏に行きましたが、屋根の東西妻面(ある意味ふきっさらし)を
風が通るので、涼しく感じました。
「妻面から雨が入り込みませんか?」と尋ねたら、
「一度もそんなことはありませんよ。」とのこと。
屋根の出にも、昔の人の知恵があることを学びました。
Posted by 石川忠紀 at 2012年01月10日 20:31
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
切妻屋根の評価が、社会的に低すぎるのは、人が、何か価値観をどこかで間違えてしまったような気がしてなりません。
Posted by 青木正剛 at 2012年01月10日 22:00
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