2016年04月10日

新城井代の家・上棟

昨日は、新城井代の家の上棟でした。
木材のB品利用がテーマの家づくりです。

私は、B品の利用は、家づくりの一つのテーマとして設計を行ってきました。
端柄材や下地材に、ヒノキの枝虫材を使うことは、最近では標準仕様です。
構造材でも、隠れ部には枝虫材を利用することもしてきました。

でも今回は、それをもっと進化させ、B品を積極的に活用する家づくりです。
構造材は、隠れ部も化粧部も、全てB品利用OKとなっています。
枝虫材はもちろん、入り皮や黒芯、青入り、木柄の悪さなど、
見栄えの悪さからB品扱いとなった材を活用しています。

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B品は、構造や機能面で問題ある材もあるのですが、
見栄えの問題だけで仕分けられる材も結構あります。
そういう材を有効利用しているわけなのですが、
今回は、それを化粧使いしているところが、ちょっとミソです。

最近の家づくりでは構造材が隠れてしまう造りが主流ですが、
隠れ材の構造材も、見栄えの悪いB品は嫌われてしまっています。
これは、木という資源を活用する上では、良いことではありません。

今回のお施主さんは、木は自然のままで良い、という木を愛する方です。
構造面に問題が無ければ、見栄えの悪さは、それも木の個性として楽しんでしまう。
ちょっと視点を変えるだけで、楽しい木組みの家づくりができます。

今回は、杉生さんで貯まってきていたB品を有効活用させていただいています。
材利用の協力にもなり、材価格がお値打ちになるところはありがたいところです。
木組み表しで、板材もふんだんに使っていますが、木材費はかなり抑えられています。

今回の構造材仕様としては、柱をヒノキ、梁桁材を杉で設計してあります。

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管柱は、120角で仕上げ削りされた状態で雨染みが付いてしまった材を使いました。
外壁部は、大壁仕様で隠れてしまいますので、そのまま利用しています。
内部の柱は、新規で仕上げ削りをして118角で使っています。
一般的には、使う直前に仕上げ削りをして120角で使いますので、
仕上げ削りして120角で雨染みが付いてしい、B品の柱となっていたわけです。

最近は、大黒柱と呼ばれる太い柱が使われる例が少なくなりました。
ですので、B品という訳ではありませんが、
長期在庫となっていた6寸(18cm)角の大黒柱も入れています。

杉の梁桁材は、一般液な節有材の中に、木柄の悪いものも使っていますが、
少量在庫となってしまったヒノキや、仕入れで偶然混ざったサワラ4本も使いました。
ヒノキの方は、若干青入りのものから綺麗なものまでいろいろです。
サワラは、一部入り皮が入りましたが、全体的になかなか綺麗です。
ヒノキもサワラも、強度的には杉より上です。
木のランクとしても上位ですので、本来はB品とはならないはずですが、
杉材の注文に少量入るパターンでは、B品扱いとなってしまう訳です。
ですので、今回は、在庫処理に協力できた、ということなのです。

構造材を表し使いする場合、一部木柄の悪い材が混じると気になってしまいます。
でも見方を変えて、いろんな材が混じることとなってくると、
それはそれで、見え方の状況も変わってきます。
今回は、木の個性が活きる楽しい木の家になりそうな感じです。

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上棟後は、餅投げです。
地域の子供たちが、たくさん集まってくれました。
posted by 青木正剛 at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 家づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月03日

手刻みとプレカット

木造軸組み工法の住宅の構造軸組の加工は、手刻みとプレカットがあります。
実際には、現場建て方前に、軸組の仕口・継手の加工を作業場や工場で加工して、
その後、現場へ搬入するという意味では同じです。

手刻みは、大工さんが、まず軸組図面を板に描きます。(板図と言います。)
その板図を基に、木材1本1本に墨付けをして、それから大工さんが刻み加工していきます。
のこぎりやノミはもちろんですが、電動工具も使います。
要する工期は、1棟刻むのに1か月から2か月ほどです。

片や、プレカットでは、まずコンピュータ入力によりプレカット図を作成します。
そして、プレカット図は、監理者・元請け施工者によりチェックがされます。
その後、木材が工場に搬入され、専用の機械が刻み加工を行います。
要する工期は、1棟加工するのに1日から数日といった程度です。
大規模工場では、1日で数棟分も加工してしまうところもあります。

プレカット工場は、設備投資に大きな資金が掛かりますが、
短い工期で数をこなすことが可能になります。
よって、結果的に工事費を抑えることができるわけです。
また、最近のプレカット加工機は精度も良くなってきています。
早く安くには、好都合なシステムです。

手刻みとプレカットは、単純に二分されているわけではありません。
メインがプレカットであっても、部分的に手刻みを併用することは結構行われています。
小屋梁に丸太を使う場合や、6寸角を超える大黒柱を使う場合などは、
プレカット工場内で、大工さんが手刻みしていたりします。
機械加工ができない継手・仕口、特に伝統系のものもありますので、
手刻みに頼らざるを得ない刻み加工も有るわけです。

建物形状や木組みが複雑になれば、プレカット工場の能力の差が出てきます。
手刻みを行う大工さんに技術の差があるように、プレカット工場にも技術の差があります。

手刻みとプレカットは、それぞれ、長所短所がありますので、
建物の方向性や造り方に合わせて選定されるべきでしょう。
最近主流の大壁納まり・天井貼りで、構造軸組が隠れであれば、プレカット向きです。
伝統的継手仕口や、真壁納まりで梁桁や小屋組みなど表しであれば、手刻みが向いています。

最近では、プレカット機械(加工機)もどんどん進歩ししています。
伝統的継手仕口や化粧材の得意なプレカット工場も、少ないですが、あります。

化粧材や表し部分が増えるほど、人の手間がかかる番付作業が重要になります。
番付作業は、木材の節や木肌など綺麗な部分を化粧部に有効に配置する作業です。
見栄えの部分は、機械では選別できませんので、人が手間を掛けることとなります。

プレカット加工はスピード重視で、基本的に材選定に時間を割く余裕はありません。
プレカット工場でも、ある程度は化粧材への配慮はしてくれますが、
こだわる部分があれば、事前に番付作業を済ましておく必要があります。
プレカット工場によって化粧材への対応はまちまちですが、
プレカット加工は、どちらかと言うと、隠れ材仕様に向いています。

片や、手刻みは、番付しながら墨を打ち、刻みを進めていくことが可能です。
番付作業に多くの時間が掛けやすい進め方です。
梁桁材に化粧部が増えれば増えるほど、手刻みが向いていると言えます。
化粧材の扱いはもちろん、丸太や伝統的継手・仕口など、
大工さんの技と経験がものを言う世界です。

現在、世の中の主流はプレカットです。
そのシェアは、9割をはるかに超えていると思われます。
家づくりには、工期や予算が絡みますので、致し方ないところです。
自分が設計させていただく場合でも、プレカットの方が多いのが現状です。
でも、大工さんの技と経験は、何とか後世に残して行ってほしいです。
posted by 青木正剛 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 家づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする